完璧上司は激甘主義!?
するとふたりは困ったように、だけどどこか照れくさそうに顔を見合わせた。
その瞬間、分かってしまった。
中村さん達の話は本当なんだって――。

「まだ会社には報告していなかったんだけど……まいったな」

そう言いながら照れ臭そうに頭を掻く速見さん。
そして幸せそうに微笑みながら、隣にいる永井さんを見る。

「長年俺の片思いでね。……最近やっと実を結んだばかりだったんだ」

「え……最近、ですか?」

じゃあつい最近までは、永井さんは南課長と付き合っていたってこと?

「ほら、新さんも分かるでしょ?……私、ずっと仕事人間だったから。仕事が落ち着くまでは恋愛とか興味なかったの」

ちょっと待って。
ずっと恋愛に興味がなかった??じゃあ南課長は?

頭が追い付いていないというのに、ふたりは話を進めていく。

「だけど俺達ももうそろそろ三十代になるからさ。……最後に思い切ってプロポーズしたんだ。そうしたらめでたくOKもらえたってわけ」

“デへへ”とニヤける効果音がついていそうなほど、幸せそうに笑う速見さん。
その隣でまた永井さんも「実は私もずっと前から好きだったから」と言いながら、幸せそうに微笑んでいる。

「あ、これ内緒ね」

人差し指を立ててお願いする永井さんは、仕事中に見せる顔ではなく、幸せそのものでサロンに訪れるお客様と同じような表情をしていた。
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