私は彼に愛されているらしい
ごめん、アカツキくん。

「うーん、つまりはアレか。呼び方と、話し方が気に入らないってこと?」

まとめに入ったアカツキくんが確認するように聞いてくる。

声や態度からは怒っていないように見えるけど、内心はどうなんだろう。

「…気に入らないっていうか。」

「好きではない。」

「…うん。」

ズバリ言い当てられると自分が悪者になってみたいでだんだん小さくなっていくのが分かる。

やっぱり子供じみたつまらないことだったんだって再確認させられただけじゃないの。

私、何やってるんだろう。

「みちる。」

不意に力強い声で呼ばれて私の体が跳ねた。

導かれるようにアカツキくんの方を見れば、口元に拳をあてて笑っている。

「アカツキくん?」

「こう、呼ばれたいんでしょ?」

当たってる、でもなんでアカツキくんは可笑しそうにしてるのかが分からなくて私は表情で疑問符を投げてみた。

「可愛いなって思って。」

「うん?」

「俺ともっと近付きたかったってことでしょ?」

言われている意味が分からなくて瞬きを繰り返していたけど、理解した途端に私は顔を真っ赤にして両手で口元を隠した。

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