私は彼に愛されているらしい
「ここまで何ヵ月かな。まあよ予想よりはかなり早かったけど…随分と俺のこと好きになってくれたみたいだ。」

え、つまり、そういうこと?

「好きすぎて、寂しかったってことだよね?」

え?つまり、そういうこと!?

アカツキくんが意地悪そうに私を見ている。これってつまり、私はつまり。

「お、お邪魔しました!!」

やっちまったと自覚してはこんな所にいられないじゃないの。

やばい、かなり恥ずかしい。

何が倦怠期よ、ナニコレ凄く恥ずかしい話じゃないの。

居ても立っても居られずすぐに帰ろうと腰を上げたけど無駄だった。

「まあまあ、座ってよ。」

「う、わ!」

中途半端に立ち上がった体はアカツキくんに引き寄せられて彼に抱き寄せられる形になってしまったらしい。

これは、なんとなく危険信号な気がする。

「そんなに寂しい思いをさせてるなんて知らなかったな。」

「い、いや、寂しいっていうか、何ていうか。」

「泣きそうなくらいに思いつめてたって事だもんね。」

アカツキくんの腕の中から必死に抜け出ようとしてもやっぱり駄目で、どれだけ体を動かしても逃げ道は見つけられそうにない。

どうしよう、楽しそうなこの声が私にはサイレンにしか聞こえないぞ。

「でもさ。」

「ひゃ!」

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