一途な彼は俺様モンスター
どちらも一切の隙を見せずに、しばらく時が流れている…冷たい風が髪を揺らし、頬に冷たく当たっていた。

私とバネちゃんは、空翔たちとは少し離れたところにある岩場に隠れて、見守ることしか出来ないでいる…



空翔…頑張って……




祈るように空翔を見つめると、さっき感じたものと同じ胸騒ぎを感じた。

空翔が紙神になんか負けないことくらいわかっている。ヴァンパイアと紙を操るモンスターの力の差なんて、人間でいう大人と赤ちゃんくらい違う…

そんなもの、モンスターに少しでも関わっていればわかることなのになんだろう…?



この胸騒ぎは一体・・・







「うぅ・・・」


すると突然、紙神が苦しみ出し胸を押さえて苦しみ始めた。空翔はとっさに構えた体制を取り、やや右足を後ろに引いた。




なに?

何が起こったの…?








「フフフ…」


しばらく苦しんだ紙神に、徐々に笑いがこぼれ始めた。

紙神の不自然な行動に、空翔はより警戒している様子。






シューーーーー…



すると、紙神の体から緑色の煙のような物がで始め、体がフルフルと震えている。腕や足をよく見ると、どんどん太くなっていることに気がついた。





「バ、バネちゃん…あれ…」

「間違いない…浅海様の血を飲み、パワーアップしたのデス」

「やっぱり…」


隣にいるバネちゃんも、私の思っていたことと同じ。紙神は私の血を摂取して、新しい力を得た…

自分の血を体内に取り込んで、力を得たところを間近で見るのは初めてだ。
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