ブンベツ【完】
逃がすまいと後頭部を抑えられ腰をグイッと引き寄せられる。
何もかも始めてでどうしたらいいのか分からない。
信じられない現実に縋るのが精一杯で、私はカイさんのシャツをギュッと握ってるだけ。
優しいけどどこか強引なキスは私の心を満たして行く。
フユちゃんの助言に今ならはっきりと答えられる。
カイさんとのこのキスが私を満たすってことはそういうことでしょ?
錯覚でも、憧れでもない。
私を翻弄するカイさんが好きで堪らないんだ。
「腕、首に回せ」
態勢を変えようとカイさんが起き上がって私を引き寄せる。
腰を強く抱いて早くも酸欠な私を向き合うような形で膝の上に座らせられた。
カイさんの言われた通りに首に回す腕にすら力が入らない。
息が続かない。
そろそろ限界で意識が朦朧になりそうな私に気づいたのか、カイさんは一度唇を離した。
「不埒、だな」
肩で息をして呼吸を整える私にカイさんは鼻で笑った。