私と彼と――恋愛小説。
「流石だねぇ。ジュンちゃんの事まできっちり調べてる…」


「そうねぇ…確かに当然よねぇ」


エレベーターに三人で乗り込んで、ジュンさんの言葉遣いは元通りだ。私には聞きたい事は沢山あった。


「あの…ジュンさん…」


「そうね――その事は長くなるから、後でゆっくりね」


ニコっと笑顔を向けてそんな風に言われれば、聞き出す術はない。知れば知る程不思議な男達なのだ。


駐車場で車に乗り込んだ途端、杏奈から電話が入る。予想していた通りだ。


「ねえ!何者なのよ大友さんって!良い男じゃないの加奈子ばっかり狡いわよ!」


「ねえ杏奈…あんたの声、佐久間さんにもジュンさんにも聞こえてるんだけど…」


「あぁーそう。夜にでもまた電話するわ…」


佐久間とジュンさんが大笑いしている。
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