私と彼と――恋愛小説。
佐久間が意味深な笑顔で編集長を見つめる。編集長の態度は意外なものだった。


そうして、彼と目を合わせた侭で肩を揺すって笑いだした。


「なるほどねぇ…そう云う事ですか」


「流石、編集長。そう云う阿吽の呼吸って好きですよ僕」


「だそうだ…加奈子」


「えっ?なんですか?」


編集長が振り返り私を見る。佐久間も編集長の肩越しに私を見た。


何なんだ…この人達は。二人して同じ様にニヤニヤとしている。


「まあ、とにかく中へどうぞ」


訳がわからないまま、彼らの後を追う。なんだか嫌な感じだ。


「おーい。始めるよ」


陽気で通る声にスタジオのスタッフが一斉に集まった。


何が始まるのか理解していないのは私だけのようだ。


「さあみんな、いつも通りに頼むよ」
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