私と彼と――恋愛小説。
浮かない表情で戻った彼女に話しかける。


「何言われました?」


「予想通りよ。書籍の連中と〈カヲル〉を会わせろってさ」


「でしょうね…」


「まあ、取りあえず突っぱねた。noxの正式な契約もまだなのに余計な話出してボツになったらどう責任とるんだって言ってやった」


「それしかありませんよね。とにかく一度佐久間に会って来ます」


「そうしてよ、実際問題としてどう契約するかも考えないとね…佐久間と契約するわけにもいかんだろうし」


「確かに…名前が出ちゃいますよね。どうするつもりなんですかね?」


「まあ、どうせあの男の事だ。何か考えてるだろう」


佐久間にメールを入れる。緊急でない限りそうしてくれと言われていた。


私達にすれば緊急でも、彼にしてみればそうでもないだろう。


意外な程早く返信はきた。明日の午前中であれば構わないとの事で住所を指定される。


マンションの一室、おそらくそこが事務所なのだろう。


夜は恭子達と飲み会だった。少し遅めの時間に約束を入れた。


佐久間の返事は簡潔で、了解とだけ速攻で返った。
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