誘惑~初めての男は彼氏の父~
 花火もあっという間に使い切り、燃え残りを片付け終わってからログハウス内に戻った。


 夜も深まってきて、虫除けスプレーをかけても虫が気になるようになってきたので、そろそろ限界だった。


 もう一度、ホテルまで歩いて温泉に入りに行くことにした。


 私たちの泊まるログハウスからホテルまでは、歩いて五分ちょっと。


 小道の脇には所々灯りがあるものの、一人ではちょっと怖いような夜の道。


 ゴルフ場と森林に囲まれているこの辺りは、夜は無人。


 風が木々の葉を揺らす音しか聞こえない。


 「以前部活で来た時は、肝試ししたんだ」


 一人で歩いていけと言われたら、かなり心細い。


 でも佑典が隣にいてくれるだけで、夜の闇の中でさえも怖がらずに前に歩いていける。


 「手、繋ごうか」


 お言葉に甘えて手を差し出した。


 「これで迷子にならないね」


 微笑みかける佑典のほうを見ると、森のほうに何やら気配がした。
< 147 / 433 >

この作品をシェア

pagetop