誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「追いかけて?」


 「うん。あの人はどんなに口説いて手に入れた女の人でも、もっと魅力的な被写体を見つけたら、そのまま置き去りにしていくような人だから」


 「・・・」


 そういえば件の、浜辺ドライブの際も。


 キツネの親子を見つけた途端、私を放ったらかしにして追いかけていった。


 私を不安にさせて、その隙を突いて手に入れるための策略だったと思い込んでいたけれど・・・。


 「俺はあの人のそういところが理解できない。俺だったら絶対に、理恵を置き去りにしたりしないから」


 「・・・お願いするわ」


 話が一段落する頃、私たちはホテルの玄関にたどり着いていた。


 入浴時間は24時までなので、まだ余裕はある。


 男女で異なる入り口から、それぞれ大浴場へと入った。


 露天風呂からはゴルフ場の方角、南西の空が見渡せる。


 月の灯りに多少遮られているけど、満天の星が確認できる。


 天の川を見つめながら湯船に浸かり、私はこれからのことを再度考えた。
< 149 / 433 >

この作品をシェア

pagetop