誘惑~初めての男は彼氏の父~

ペール・エール

***


 「お疲れ様でした」


 日没まで私たちは、海辺で沈み行く夕日を堪能し。


 それからかねてからの約束どおり、近場にあるビアガーデンに移動した。


 真夏だったら屋外の方が気持ちいいのだけど、さすがに夜は肌寒い季節へと変わっていたので、屋内を選択。


 メニュー表を見ると、世界各国のビールが目白押し。


 私はお気に入りの、英国製ペール・エールをオーダー。


 その他枝豆やから揚げ、フライドポテトなどのおつまみ数点。


 和仁さんはよく分からない銘柄のものを選んでいた。


 「そういえば、帰りの車はどうするんですか」


 何のためらいもなく、ジョッキを一気に空にした和仁さん。


 乗ってきた車は、未だ駐車場に置きっぱなし・・・。


 「最近駐車場は、七百円くらいに達するとそれ以上は請求しないってところが多いよね。だから心配ご無用」


 「そういう問題じゃなくて、帰りの運転はどうするんですか。私も飲んでるんだし。飲酒運転で捕まったら罰金数十万ですよ。私も連座です」


 「大丈夫、運転代行頼むから」


 ・・・ここから札幌まで運転代行。


 いったいいくらかかるのか、ちょっと心配だった。
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