誘惑~初めての男は彼氏の父~
 ・・・はずなのに。


 いくら飲ませても、和仁さんはびくともしない。


 気がつけば私のほうが徐々に・・・。


 「お客様、そろそろお時間です」


 ラストオーダーはすでに済ませており、その後も残ったおつまみをつまみながら語っているうちに、制限時間の二時間を迎えてしまった。


 「出よう」


 入り口付近には順番を待っているお客さんもいたので、長居はできなかった。


 いつものごとく和仁さんが会計を済ませ、私も後を追って外に出る。


 ・・・駐車場に向かって歩いている間、足元が何となくふわふわする感じだった。


 かなり酔っているのかもしれない。


 「飲みすぎたんじゃないの」


 和仁さんに気づかれた。


 「いえ、気のせいです」


 「少し休んで、」


 「あ、休むのなら、そこの公園がいいです」


 先手を打って、駐車場の手前にある公園へと入り込んでベンチを探した。


 さほど大きくはない、幼児用遊具がいくつかある程度の公園。 
< 226 / 433 >

この作品をシェア

pagetop