誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「無理してない?」


 「本音よ」


 「・・・心からそう思ってくれているなら、嬉しいよ」


 佑典はさらに強く、私を抱きしめた。


 「理恵ももっと、自分の好きなことしてもいいんだよ。俺ばっかりじゃ悪いから」


 腕の中の私に語りかける。


 「私も何か、趣味やりたいって考えているの」


 「うん。習い事は早いうちにスタートしたほうがいいよ。外国語とか、スポーツクラブとか」


 私が本当にやりたいことは、佑典には言えない。


 私が目にしたもの、感じたことを記憶だけじゃなく、記録にも残したい・・・。


 「だけど理恵が、俺以外のことに夢中になり始めると、妬いちゃうかも」


 苦笑いを浮かべた後、私たちはそっと唇を重ねた。


 最初は触れるだけ、徐々に息もできなくなるくらい。


 ・・・ひどい裏切をしているにもかかわらず。


 私はこの人のそばにいたいと願っているのも、また事実。
< 248 / 433 >

この作品をシェア

pagetop