誘惑~初めての男は彼氏の父~
和仁さんは札幌駅近くの駐車場に、出張中車を預けていた。
その車を回収して、寮の近くまで私を迎えに来てくれた。
車を走らせ、郊外のパスタ屋さんでランチセット。
和仁さんは数日間、オホーツク海沿岸に出かけていて、そこで流氷の写真などを撮影してきたらしい。
「まだ流氷あるんですか」
「その年の気候や風向きにもよるんだけど、今年はまだ大丈夫。昼間は沖合いに遠ざかるから、観光砕氷船でかなり沖まで出向いたよ」
業務用とは別に、携帯電話で撮影した画像を数枚見せてくれた。
「鷲が氷の上で休んでいたから、撮影のためにデッキに佇んでたら近くにカップルがいて、散々いちゃついた後キスし始めた」
「それは・・・。災難というかご愁傷様というか」
「他人のいちゃつく場面なんか、見たくもないからね。今度理恵も一緒に行こう。流氷見たことある?」
「いえ、一度も」
「寒いし一人じゃ寂しいから、次回は理恵も一緒に。砕氷船は間もなく今期の営業を終えるから、また来年にでも」
「来年・・・」
来年の今頃。
私は佑典の元へ、海外に降り立っているのだろうか。
常夏の地へ。
そう考えると切なくなる。
その車を回収して、寮の近くまで私を迎えに来てくれた。
車を走らせ、郊外のパスタ屋さんでランチセット。
和仁さんは数日間、オホーツク海沿岸に出かけていて、そこで流氷の写真などを撮影してきたらしい。
「まだ流氷あるんですか」
「その年の気候や風向きにもよるんだけど、今年はまだ大丈夫。昼間は沖合いに遠ざかるから、観光砕氷船でかなり沖まで出向いたよ」
業務用とは別に、携帯電話で撮影した画像を数枚見せてくれた。
「鷲が氷の上で休んでいたから、撮影のためにデッキに佇んでたら近くにカップルがいて、散々いちゃついた後キスし始めた」
「それは・・・。災難というかご愁傷様というか」
「他人のいちゃつく場面なんか、見たくもないからね。今度理恵も一緒に行こう。流氷見たことある?」
「いえ、一度も」
「寒いし一人じゃ寂しいから、次回は理恵も一緒に。砕氷船は間もなく今期の営業を終えるから、また来年にでも」
「来年・・・」
来年の今頃。
私は佑典の元へ、海外に降り立っているのだろうか。
常夏の地へ。
そう考えると切なくなる。