誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「この長い髪に絡め取られたまま、一生逃れられないような気がする」


 私の髪を指に絡ませ、顔を埋めながらそっと告げる。


 耳元で囁かれただけで、鼓動が速まる。


 何もかも投げ捨てて、本能だけに身を任せたくなってしまう。


 このまま全てを・・・。


 「あ、ちょっと待ってください」


 和仁さんから急に離れた。


 「これからという時に・・・。ひどい子だね」


 唇を指で触れられた。


 「すみません・・・。シャワー貸してください」


 「・・・そうだね。身を清めたら、僕の部屋においで」


 居間では、急に佑典が帰ってきたら逃れられない。


 ここでこれ以上続けるのは中断することにした。


 ・・・熱いシャワーを浴び、身を清める。


 半日と少し前は、佑典と夜を共にしていた。


 それが今は・・・。


 罪悪感を覚えつつも、もう止められない自分を振り切るかのように、タオルで水滴を拭き取った。
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