誘惑~初めての男は彼氏の父~
 バスルームを後にすると、キッチンに和仁さんが立っていた。


 寿司の桶を水洗いしているようだ。


 「お手伝いしましょうか」


 「いや。これだけは手洗いで、あとは食器洗い機に全て放り込むだけだから」


 ワイングラスや小皿などを全部食器洗い機に並べ、洗剤を投下してスイッチを入れた。


 「ほんと楽だ。勝手に洗って乾燥までやってくれる」


 高校生の頃、家事の軽減化のために誕生日プレゼントとして買ってくれたと佑典が話していた。


 「次は僕もシャワー入るから。先に僕の部屋に行って待っていて」


 「はい」


 万が一の事態を想定して、靴も荷物も全て和仁さんの部屋に運び入れた。


 シャワーを終えて、借り物のバスタオルに身を包んでいた。


 再び今まで着ていた服に着替えようとしたけれど。


 「・・・」


 どうせすぐに脱がされこのような姿になるので、何も身にまとわずベッドに入り、布団に包まった。


 静かな部屋の中。


 最初は遠くから響いてくるシャワーの水音を、耳で確かめていた。


 しかし次第にその水音ですら、心地よく感じられてきて。


 いつしかうとうと眠りに落ちてしまった。


 ワインを短時間で一気に飲み干したため、酔いが回ってきたのかもしれない・・・。
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