誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「俺が預かるしかないですね。先輩の家までは持ちこたえられないと思うし。うちは父親も同居なので、間違ったことにはなりません。客間もあるから、そこに寝てもらえばいいし」


 「・・・悪いけど、任せていいかな」


 「大丈夫です。父親にもきちんと説明しておきますので」


 佑典に何かを任せて、先輩は家の前から去っていったようだ。


 車のエンジン音が急速に遠ざかっていく。


 「大丈夫か」


 佑典は誰かを介抱しているようだ。


 先輩は何らかの理由で佑典に任せざるを得ず、佑典が介抱の役割を引き受けたようだ。


 いったい誰を・・・?


 オーケストラ部の部員は、佑典と同じ町に住んでいる人はいない。


 「とりあえず家に入ろう。外は寒いし、こんなとこで寝ちゃだめだ」


 誰かを抱きかかえるように、家の中に連れて行こうとしている。


 その時、信じがたいことに。


 「えー・・・。佑典さんに家に連れ込まれるなんて」


 女の声だった。


 後輩の内村明日香、間違いない。


 「何バカ言ってんだ。君が鍵を忘れるからこんなことになるんだぞ」


 「ふふ・・・」


 内村さんはかなり酔った様子で、佑典に絡んでいるらしい。


 「父さんにも許可得るから」


 玄関の鍵を開けて、佑典は家の中に入ってきた。
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