誘惑~初めての男は彼氏の父~
 カチャ・・・。


 ゆっくりと佑典はドアノブを回し、玄関に入ってきた。


 と同時に、玄関がぱーっと明るくなった。


 和仁さんが電気をつけたのだ。


 足を踏み入れると同時に灯りがついたので、佑典は一瞬、自分に反応して明るくなったのだと思い込んだようだ。


 「あ・・・。びっくりした。父さんか。こんな時間まで起きてたの?」


 玄関に架けられた時計は、午前三時台。


 春分の日はすでに過ぎているとはいえ、この時期まだ辺りは暗い。


 「おかえり。外が騒がしかったから、様子を見に来てみたんだけど」


 「ごめん。先輩の車で家の前まで送ってもらって、それから・・・」


 「その女の子は何だ」


 佑典に抱えられながら家の中に入ってきた内村さんのことを、和仁さんは問いただした。


 「あ、この子はオーケストラ部の後輩で、F女子大学一年生の内村さん・・・」


 「はじめましてー。佑典さんにはいつもお世話になってまーす」


 少々ろれつの回らない口調で、内村さんは和仁さんに挨拶をした。


 「・・・佑典。どういうつもりだ」


 和仁さんは内村さんからの挨拶には答えず、佑典に厳しい表情を向けた。


 「自宅に酔った女の子を連れ込むなんて、認められないな」


 「父さん、これには事情が」


 佑典は理由を説明しようとした。
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