誘惑~初めての男は彼氏の父~
 両親は海外旅行中で、帰国は数日後。


 そんな状況で鍵を持ってくるのを忘れた内村さんは、家に入ることができなくなったという。


 若干話が出来過ぎているような気もするけれど・・・不運が重なって内村さんは帰宅不可能に陥っていた。


 「ということはつまり、ご両親が帰国するまで、ずっとうちでお預かりするつもりか」


 「いや、市内に祖父母がいて、そこに合鍵を預けているから、朝になったらそこに連れて行こうと」


 市内南部の母方の祖父母宅に合鍵があるのは分かっていたものの、逆方向だし時間も時間なので。


 今日はあきらめて、明日改めて出直すことにして、佑典は内村さんをここにまで連れてきたようだ。


 「・・・札幌市内におじいさんおばあさんがいらっしゃるなら、今すぐお連れしなさい」


 和仁さんは断固として、内村さんを家に入れようとしない。


 私が潜んでいるゆえ、見つかる危険性が高まるっていうのもあるけれど。


 和仁さんは私が嫌がることを察知して、この内村さんを遠ざけようとしたようだ。


 「今すぐって・・・。無理だよ。こんな時間だし」


 「今出れば、到着する頃にはもう明るくなっているだろう」


 「ていうか俺、酒飲んでるし」


 「ならば父さんが運転する。佑典もついてきなさい」


 和仁さんはジャケットを羽織り、車のキーを手に取った。
< 420 / 433 >

この作品をシェア

pagetop