誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「佑典、この子の祖父母宅の住所は?」


 「分からないんだ・・・。南区ってことしか」


 「仕方ないな・・・」


 和仁さんは内村さんを揺さぶって、起こそうとした。


 内村さんはすでに意識は朦朧としていて、呼べば返事はするけれど、それ以外はグッタリとして佑典の腕にもたれている。


 「君、起きなさい。家に帰ろう」


 和仁さんが数度揺さぶって、ようやく内村さんは目を覚ました。


 「ん・・・。あら、佑典さんのお父さま・・・?」


 内村さんはゆっくりと目を開ける。


 「噂では聞いていましたが、噂以上に若くて素敵なお父さまですね」


 ろれつが回らない口調で和仁さんに告げる。


 「さ、帰るよ」


 和仁さんは内村さんを佑典の腕から引き離し、外に連れ出そうとした。


 「嫌です。私、帰りません」


 内村さんは和仁さんの腕を振り解いた。


 「今晩は佑典さんと一緒って決めたんでーす」


 再び佑典の元へ舞い戻る。


 「家主として、それは認めるわけにはいかないな」


 「どーしてですか」


 元来、上級生相手にも臆することなく物申せる性質の内村さん。


 この日は酔いの勢いもあって、和仁さんにかなり執拗に反論してきた。
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