誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「誤解を招くようなことは、許可できないな」


 「誤解って何ですか」


 「君は嫁入り前の娘だろう? 佑典にだって彼女がいる。周囲に誤解を与えるようなことは慎むべきだ」


 「佑典さんの彼女・・・」


 そうつぶやいて、内村さんは低い声で笑い出した。


 「何が可笑しい?」


 「お父さまは、息子さんの彼女を自分のものにしてるって噂じゃないですか」


 「は?」


 辺りが凍りついた。


 こっそり和仁さんの部屋を出て、物陰で成り行きを見守っている私も、緊張が高まっている。


 「別に責めてるわけじゃないですよ。むしろ応援しています! あんな人、お父さまにお譲りします」


 「内村!」


 佑典が止めても、内村さんは止まらない。


 「君は何を言ってるんだ」


 和仁さんは息子の後輩の不躾な発言にも、余裕の対応を見せている。


 内心かなり動揺しているとは思うけど・・・。


 「お父さまはあの女と仲良くなさってください。佑典さんは私が何倍も幸せにしてみせますから!」


 内村さんははっきりと言い放った。
< 422 / 433 >

この作品をシェア

pagetop