誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「内村、何言ってんだ。やめろって」


 佑典は慌てて手を伸ばし、内村さんの発言を食い止めようとした。


 「あら。佑典さんもさっきまで散々言ってたじゃないですかー。浮気するような奴は許せない、って」


 「内村!」


 「ね、お父さま。お父さまはあの女がお好きでしょう? だったらそれで、めでたしめでたしじゃないですかぁ」


 今度は内村さんは、和仁さんに絡むように近寄った。


 「君が今何歳かは、ここではあえて問いたださないけれど。まだ飲酒は法律違反な年齢じゃないのかな。それに若い娘が酔っ払って大人の男に絡む姿は、あまり美しいものではないな」


 依然として和仁さんは、クールに対応している。


 陰で成り行きを見守っている私も、心臓が飛び出しそう。


 次に内村さんが何を言い出すか。


 佑典はそれに対し、どんな反応を見せるか・・・?


 和仁さんもいつまで冷静さを保てるか。


 「お父さまは真面目なんですねー。そんな真面目なお父さまが息子さんの彼女に手を出すなんて、にわかには信じがたいんですけどね~」


 内村さんも自信満々に和仁さんに応対する。


 その自信の根拠が分からない。


 「・・・僕は若い頃、酔って絡んでくる迷惑な友人には、バケツで水をぶっ掛けたものだ。女の子にはやったことがないけど。君は第一号になりたいのかな?」


 腕を掴みながら絡んでくる内村さんに、ついに和仁さんも我慢の限界が近づいたようだ。
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