誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「それは酒の席でのノリで・・・。あくまでも場の勢いで・・・」


 歯切れが悪い。


 声は徐々に小さくなり、やがて黙ってしまった。


 「佑典さん。お父さまに遠慮することはありません。悪いのはそちらなんですから・・・」


 立ち向かう気力をなくした佑典に、内村さんは畳み掛けた。


 「これからは幸せになりましょうね・・・」


 力なくうなだれている佑典の首筋に腕を回して、唇を奪った!


 「君・・・!」


 突然の事態に、和仁さんも止めようとしたけれど間に合わなかった。


 和仁さんの目の前で・・・私も物陰から見守っていた真正面で、内村さんは熱烈に佑典の唇を奪った。


 「もう佑典さんは私のもの・・・」


 そのキスを契約成就とみなした内村さんは、満面の笑みを浮かべ。


 がくっと佑典の腕の中に崩れ落ちた。


 今度は演技などではなく、安堵感が猛烈な眠気をもたらしたようで。


 そのまま深い眠りに落ちていった。
< 428 / 433 >

この作品をシェア

pagetop