誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「佑典・・・。いったいどうするつもりだ」


 今まで内村さんが発言した内容から判断しても。


 佑典はとんでもない口約束をしてしまっていたようだ。


 「正気なのか。このままお前は理恵ちゃんを、」


 和仁さんは佑典のほうへと手を伸ばした。


 「・・・父さんがあんなことしなけりゃ、あれこれ噂されることもなかったんだよ!」


 「何のことだ」


 その瞬間、佑典は腕の力を緩めた。


 内村さんが廊下に崩れ落ちる・・・。


 落下の衝撃で、内村さんが耳につけていたイヤリングがコロコロと私の潜む廊下の陰へと転がって来た。


 「・・・理恵?」


 日の出前とはいえ、すでに辺りは明るくなり始めていた。


 佑典の視界に、私はゆっくりと映し出される。
< 429 / 433 >

この作品をシェア

pagetop