囚われる心と体


すぐに唇は離れてくれなくて、角度を変えながら濃密に奪われる。彼の舌はいとも簡単に入り込んできて私のと絡まりあう。




「…んんっ」




なによ。女には不自由してないんじゃ無かったの?それとも据え膳食わぬはなんちゃらを実践しちゃってるわけ?




まずい。このままじゃホントに食べられちゃう。頭がボーッとしてきて思考能力を奪っていき、抵抗のために胸板を押していた腕の力も失っていく。




それとは反対に私の体に火が灯るのを感じた。彼の手がTシャツの裾から入り込み素肌を撫でる。脇腹から上に登ってきた手は膨らみには触れず背中に回された。




この時点で完全に私の抵抗が無くなったのを見計らうと唇が離された。潤んだ瞳で見上げれば、参ったなと一言発して私を解放した腹黒王子。離れていく温もりが寂しいと感じてしまうなんて…。




「今日はここまでだ。ゆっくり寝ろ」




私の頭をよしよしと撫でると寝室から出て行った。沢井卓人は完全にSだ。ここまでされてゆっくり寝ろだなんて出来るわけないじゃない。この胸の動悸と疼く体をどうしたらいいのよ。


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