囚われる心と体
私達はいつも行きつけの居酒屋で飲み始めた。なるべく昨日の話題に触れないようにと思うもののそうはいかなくて高梨は私を追い詰める。
「お前、本当に昨日家に帰った?」
「やだな。ちゃんと帰ったよ」
うーん。やはり信じてもらえてなかったか。確かに昨日は動揺しててはっきり伝えられなかったもんね。紗耶香にも高梨には知られるなって釘刺されてるし気をつけないと。
「とにかく。沢井さんには気をつけろ」
「…うん」
高梨は腹黒王子の噂をマーケティング部の先輩に聞いたらしくそれを私に伝えたかったとか。
やはりあの男はいろんな女と関係があるらしい。ま、私があの容姿だったら沢山の女性を口説くだろうと安易に想像がつくのでそこには納得がいく。
ただ基本、彼が手を出すというより女性からのお誘いが後を絶たないらしい。昨日、女には不自由してないって言ってたもんね。
だからこそ興味があるとかそんな理由だけで私に接近してくることがどうにも理解出来ない。特別美人でもないし器量よしでもないもの。
いくら考えても答えの出ない事に疲れた私は飲みに専念した。そんな私につき合ってくれる高梨は本当に良き仲間だと心から思った。