囚われる心と体
「どうぞ」
「ま、見た目は食えそうだな」
ありがとうの一言もいえないのかこの男は。一口食べると、なんとか食えるなとのたまった。今すぐにでも首の骨をへし折ってやりたい衝動にかられる。
しかし食べ方はすごく綺麗できっと育ちが良いのだろうとしみじみ思った。でもこの性格を歪ませたのは失敗だったわね。
「いつまでも見惚れてねーで、風呂入ってこいよ」
「見惚れてません。それに私は片付けたら帰ります」
ジロリと睨まれ背中に冷や汗が流れる。はいはい、入ればいいのよね。ホントに恐怖の大魔王なんだから。
脱衣室にはまたご丁寧に着替えが用意されてあった。こういう所は几帳面というか気が利くというか。女に不自由してない男ならこれぐらい当たり前なのか?前の彼氏は気の利かない自分勝手な男だったので比べようもない。
けれど、彼氏でもない好意を抱いてるわけでもない男の部屋のお風呂に浸かってのんびりしてる私の方がよっぽどオカシイ女じゃないのだろうか。
そうだよ。そう思うけど、あの腹黒王子に立ち向かっても勝てるわけがない。紗耶香はアイツが私を狙ってると言ったけど狙ってるの意味が違う気がする。アイツは私を奴隷にしようとしてるんだ。