囚われる心と体
私は空車のタクシーを素早く止め高梨を大声で呼びながら乗り込んだ。しかし隣に乗るはずの高梨の姿は無く、代わりに腹黒王子が滑り込んだと同時にタクシーのドアが無惨にも閉まってしまう。
外では高梨がタクシーの窓を叩いて騒いだがタクシーが走り出した方が早かった。後ろを振り返ると歩道を駆け出した高梨が見えたけどその姿はどんどん小さくなってしまった。
これは非常にまずい予感しかない。だけどさすがにタクシーの中で変な行動は起こさないだろう。とにかく早く家に着いて欲しい。
私は腹黒王子から距離をとるべく窓際に張り付くように移動した。すると隣からクククと笑う声。
「そんなに警戒しなくてもここで襲ったりしねーよ」
おいおい。アナタすでに口調変わってますよね?
「本性出ましたね」
「お前しか居ねーんだから隠す必要ねーだろ」
会社の女子社員全員を欺いている沢井卓人。やっぱりこいつは正真正銘の腹黒王子だ。
石原由愛。大ピーーンチ。