秘密が始まっちゃいました。
落ち着け。
これはごっこ遊びだ。
私たちは倦怠期のカップルごっこをしている。


「何言ってんの。来週忙しいなら、再来週会えばいいじゃない」


わざと冷たく響くように答えた。
こんな色気に惑わされるもんか。

しかし、荒神さんの声音はしっとりと低く、私を見つめる瞳は熱っぽい。


「俺は日冴と一日だって会えないのはツライよ。日冴とキスできないのも、日冴を抱いて眠れないのもツライ」


荒神さんの親指が私の下唇を撫でる。

その刺激に私は驚いた。

はっきり言えば、それは性的な接触だった。
『そういう意味』を含んだ触れ方だった。


嘘だよね、冗談だよね。

ただのおふざけ。

なのに、どうしてこんなに真に迫る演技をするの?

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