きらいだったはずなのに!

 なんだか居心地が悪くて、散らばったままの赤点用紙を拾い集めた。


 ……何度見てもひどい点数だ。


 ちらりと桐島さんを見るけど、無表情でファイルのページをめくっている。


 なんて言われるのかな、怖いな。


「おまえさ、中学のテスト赤点ないじゃん」


「え? あ、はい」


 一応、だけどね。


 あたしの行ってた中学って、中堅どころより少しレベル下っぽいとこだし。


 にしても、さっきの声のトーンは聞き間違いなんじゃないかって思うくらい、桐島さんいつもと変わらないんだけど。


 さっきのは一体なんだったんだろう?


「やっぱおまえ、行く高校ミスってんじゃねえか」


「うっ、うるさい!」


 たしかにそうかもしれないけど。


 でも、ミヤコちゃんと一緒の高校受けて、合格できたんだから後悔なんてないんだよ。


 成績ボロボロで進級危ういかもしれなくても、毎日楽しいし!


 でも……。


「さすがに、このままじゃやばいよねえ……」


 手元にあるたくさんのレッドポイント。


 二十九点に三十五点、中でも目を疑ったのは数学の九点だ。


 百点満点中だよ?


 なんでこんな悲惨な現実から、今まで目をそらしてたんだろう。


 そりゃあ、先生たちの中で問題児扱いされてもしょうがない。

< 54 / 276 >

この作品をシェア

pagetop