きらいだったはずなのに!
なんだか居心地が悪くて、散らばったままの赤点用紙を拾い集めた。
……何度見てもひどい点数だ。
ちらりと桐島さんを見るけど、無表情でファイルのページをめくっている。
なんて言われるのかな、怖いな。
「おまえさ、中学のテスト赤点ないじゃん」
「え? あ、はい」
一応、だけどね。
あたしの行ってた中学って、中堅どころより少しレベル下っぽいとこだし。
にしても、さっきの声のトーンは聞き間違いなんじゃないかって思うくらい、桐島さんいつもと変わらないんだけど。
さっきのは一体なんだったんだろう?
「やっぱおまえ、行く高校ミスってんじゃねえか」
「うっ、うるさい!」
たしかにそうかもしれないけど。
でも、ミヤコちゃんと一緒の高校受けて、合格できたんだから後悔なんてないんだよ。
成績ボロボロで進級危ういかもしれなくても、毎日楽しいし!
でも……。
「さすがに、このままじゃやばいよねえ……」
手元にあるたくさんのレッドポイント。
二十九点に三十五点、中でも目を疑ったのは数学の九点だ。
百点満点中だよ?
なんでこんな悲惨な現実から、今まで目をそらしてたんだろう。
そりゃあ、先生たちの中で問題児扱いされてもしょうがない。