おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
「はい、○○クリニックです。」


この前、電話をうけてくれた人だ…!!

聞き覚えのある優しいその声に涙がブワッと溢れだす。

「あの……そちらにお世話になっている山本なんですが…」



「ああ、山本さん。おとといお電話くれて診察されましたよね?どうかされましたか?」


私のことを気にかけてくれたのか名前を言っただけでわかってくれた。
その明るい声に……私はこれから暗い話をしなければならない…


「あの……あの後大学病院に、いって」

「はい。」


「……そしたら赤ちゃん……なぜか…心臓が止まってて…」


「うん…」


その後はどう話したかわからない。

看護婦さんはうん、うんって、この前みたいに話を聞いてくれた。
うん、うんって言う看護婦さんの声も、揺れていた。



もしかしたら…少しだけ泣いてくれていたのかな………





先生に確認するとすぐに病院に来るように言われた。


すぐに手術をするため……

私の赤ちゃんは今日で11週6日目。
12週からは手術の方法が出産と同じ方法になり母体に負担がかかる。


負担の少ない「そうは手術」と呼ばれる方法を使うには明日の朝までに手術しなければならない。



想定外の早すぎる赤ちゃんとの別れ。



「まだどこにも一緒に行ってあげられてないのに!」

「もっと美味しいものを食べさせてあげたいよ!」

「せめて、お腹いっぱいにしてあげなきゃ…!!」


電話を切ったとたん、泣きながら冷蔵庫の食べ物を食べ出す私を陽が抱いていてくれた。
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