おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
「心臓は…やっぱり止まっていますね…。」


冷静で落ち着いた先生の声が診察室に響く。



あの後すぐに陽と準備を済ませ、病院に着くとそのまま診察室に通された。


「………………」



泣きながら流産手術についての説明を聞き、前処置をするため内診台に座る。


「やはり手術しなければなりませんね。」

その後先生は看護婦さんに何かを持ってくるように伝えている。




ラミナリアってゆうやつか…



ラミナリア、ラミセルと呼ばれる海草のような棒を膣に入れ、子宮口を開かせる。

万が一に調べておいた流産手術の情報。



痛いことが多いというそれがどう痛いのか、どうにでもなれと投げ出した体もさすがに強ばる。



2分、3分のことだった。


「もう少し、あとひとつ……」


異物感と共にくる重い鈍痛に耐えながら唇をかんでいると器具が抜かれていく。




「……………………」


「…………かなり痛かったでしょうが大丈夫ですか?」


先生が心配そうに顔をうかがう。


確かに痛くはあったけど、考えている程でもなかったことに驚いていた。

「はい………」


「手伝ってあげて。」

先生が看護婦さんを呼ぶ。

「…………あれ…?」


立ち上がると貧血なのか、フラフラする。
股の違和感もあり、上手く歩くことができない。


「大丈夫ですか?」


いつもは怖そうな看護婦長さんが、体を支えてくれた。


あったかいよ………



その暖かさに涙が出て、前が見えなくなってまたフラフラしてしまった。



診察室の外にいた陽と合流して、初めての悲しい入院生活がはじまった。
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