おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
どうしてこんなことになってしまったんだろう…

なんで私だけこんな目にあわなきゃならないの?



「…………うう………」


恐怖感と、情けなさでまた涙が込み上げてくる






「大丈夫だからね。寝てるうちに終わっちゃうから痛くないから。」


看護婦長さんが優しく声をかけてくれる。


足をベルトに固定したり、酸素マスクをしたり……


ここまで来たらもう受け入れるしかない。



まな板の上の魚って…こんな気分なのかな。



ピッピッピッピッ………

私の心拍なのだろうか、規則正しい音が聞こえてきた。



「チクッとしたら、すぐ眠くなりますよ~」


麻酔の針を刺す。
目が覚めたら……もうお腹の中は空っぽになっちゃうのかな…


「うっ………ひっく………」


「一緒に数かぞえましょうか。いち、に…」

また泣き出した私を見て、看護婦長さんが呼吸を整えられるように声をかけた。



いつもはキビキビしてて、ちょっとコワイ表情の看護婦さん。

優しい声に安心したら、まぶたがおりてくる。



これが麻酔なんだ……………

本当に逆らえない…………………





















「……も………さん………?」





誰かの声。



「山本さ………ん。聞こえ………すか?」


何かが聞こえるけど、眠気が強くて何も言えない…

「返事……て…く……さ~い」


返事…?それくらいなら…


「うん…」

朦朧とする意識の中声が小さくでた。
遠くで声がする…


痛い……………
お腹………痛いな……………


「終わりましたよ~」


目を開けると元の病室だった。
世話をしてくれる看護婦さんと、陽が側にいる。


「…………」

ああ、戻ってきちゃった………
ってことは…………手術終わったんだ…



寝ながら、いつもと変わらないお腹をみる。
いつもと変わらないけど、その中に確かにいた赤ちゃんは…もう………




痛い…。お腹は久しぶりの重めの生理痛…………


「痛い………痛い………」


まだ朦朧とする意識の中、お腹の痛さが私の意識を支配していた。




「手術は終わりましたからね。痛いのはすぐおさまりますから…。痛み止めあげて。」

先生もそこにいた。



私の意識は朦朧としてて、はい。しか言えなかった。

陽が先生を追いかけてお礼を言いにいった。



終わったんだ…何もかも…………
全部空っぽになっちゃった………
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