おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
どの道を通って、どうやって帰ってきたのかも思い出せない。


家に帰る。
その本能だけが脱け殻の私を動かし、無事に自宅に送り届けた。


次に意識を取り戻したのはベッドの上。



フカフカのタオル生地のシーツの上に寝転びピンク色のタオルケットに顔をうずめる。



数時間前まで寝ていたベッド。

あなたと11週もの間一緒に寝ていたベッド…

お腹、大きくなるかな?
寒くないかな?って………


「……ヒック………う………」



タオルにこぼれる雫。

ぽたぽた…



頬を濡らしてお腹を抱いた。



どうして………?

なんで?………………どうして?………













「ただいま。」


いつの間にか寝てもいないのに時計は6時をさしていた。
焦点の合わない瞳は携帯に示された時刻を寝ながら確認する。




陽だ。
陽が帰ってきた。



「麻那?メール…あれ、なに?」



寝室のドアを開けて入ってきた陽は、ベッドから動かない私に何かを感じた。

「どうした…?」


ベッドの側にしゃがむ陽。





あ…

陽の顔なんか見たら……………

枯れていた涙の泉がまた溢れだす。


「陽……………………はる…ちゃんが………」

せき止められていたダムの水が決壊し、泣いてるのか、話しているのかわからなくなる。



「え…?はるちゃんがどうした?」


「……いなくなっちゃった………!」
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