オレンジの片想い
「でも今日、陽翔来てるか?」
きょろきょろと辺りを見回す蒼真。その目に探す彼の姿は映らない。
のは当然で。
「ううん、今日はわたしとは別の仕事が入ってて来れないの」
「あー...そうか。残念」
「陽翔も残念がってたよ。今度お互いの都合がいいときに会ってやってね。会いたがってるから」
「そうだな。俺も会いたい」
「会いたいとかきもちわるいな」
「おい」
「あはは、冗談だよ」
「雪葉ー!」
蒼真と談笑していれば、わたしの背後、遠くからわたしを呼ぶ声が聞こえた。身体ごとその声の下方へ向けて、元気よく返事をした。
「じゃあ、行くね」
「ああ」
蒼真の返事を聞いてもう一度顔を見つめ、笑う。そして踵を返して、呼ばれた方へ向かった。
今日、蒼真と話したのは、これが最後だった。