神様のおもちゃ箱
「……はい」

『よーう、少年。元気か?』


低くてハスキーな声。

―――やっぱり!


「井伏さん!何で俺の番号…?」

『おー、前なぁ。あの定食屋で携帯置きっぱなしだったからよ、ちょっと拝借した』

「勝手に何してんすか、もう…」

『まぁいいじゃねぇか』


けろっとした笑い声をあげるこの男に、俺は唇をかみ締めた。


「井伏さん……何で俺と由紀子さんを会わせたんですか?」

『あ?』


足元から押しあがってくる、煮え立った気持ちが、俺の声を震わせる。


「あんな物渡すために、何で!」


少し間が開いた。


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