ダレにも負けないぐらい愛してやる



大人は、嘘つきだ。母さんは、迎えに来ないんだ。私がおじさんの所に来たのは、9歳の時だった。息をするのが苦しい、そう感じた時間(とき)は7年。


そして唯一私を守ってくれていた、おじさんは癌を患い、去年そのまま帰らない人に。そのあとは、おじさんの家に居るのが辛くて


おばあさんに『いつでも出て行けって』だから、あの家には、あまり帰りたくなくて夜遅くまで公園で空を見て時間を潰し、気付けば、声が出ていなかったんだ。


『突然声が出なくなったの・・・』

「失声症か?」

『分からない・・・』

「そんなんで、あんな所に座ってたのか?」

『うん・・・』

響さんの瞳は、怒ってるのか、それとも可哀想だと言う瞳なのか分からなかった。

「明日、知り合いの病院へ連れて行ってやる」

『要らない』

「どうして?」

『必要ないから』

「オレは・・・必要だ」



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