恋じゃなくてもイイですか?
最近の通勤靴であるレインブーツを自分の部屋番号の下駄箱に入れようとしたら、下の段に目新しいスニーカーが並んでいるのに気付いた。
見たことのないスニーカー、鮮やかな発色のそれらはどう考えてもハルニレのものではなかった。
不思議そうな表情で下駄箱を眺める私に気付いたのか、立ち上がり、体を伸ばしながら、ハルニレは私に告げた。
「遥くんが今日、引っ越して来たんですよ」
「えっ?今日だったの?」
近々の予定だとは聞いていたけれど、知らなかった。
彼が選んだ部屋は7号室、3号室の私とは一番離れた場所にある部屋だ。
「どうしよう、今日だって知ってれば、もっと気の利いたもの買って来たのに……せっかくだから歓迎会したいよね?」
今日は野菜の特売日だったから、夕飯は野菜カレーにしようとカレーの材料を買い込んでいた。
「今からでも___」
「それが……僕も歓迎会をしようと提案したのですけど、気を遣わないでいいと断られました。遥くん、週5で居酒屋で働いているらしくて、今日もバイトだからと荷解きもさながらに、出掛けて行きました」
遥くんは既にここにはいないという。
何か、私と会わないようにしているみたいとネガティブな考えがふと浮かぶ。
「じゃあ、お腹空かせて帰ってくるだろうから、カレー、多めに作っておこうかな?」