恋じゃなくてもイイですか?
落胆が表情に出ないように、笑顔を作り、元気な声を出した。
目の前に立つハルニレは、メガネのフレームを掛け直して、言いにくそうに「あの~」と私の顔を伺う。
「居酒屋でまかないが出るらしくて、基本的には食事は外で済ませるみたいだから、ほっといてほしいとの事です」
ハルニレは食事についてもすでに提案してくれていたようだ。
そして遥くんの答えはNO。
「仕方ないよね、それぞれ生活があるし、まかない付きなんて、遥くん、いいバイト見つけたね」
明るく言ったつもりでも、少し傷ついている私がいた。
そうだよ、十人十色なんだから、みんなが仲良く過ごせたらいいななんて、そう思った通りに行くはずがないよ。
そう自分に言い聞かせる。
遥くんが興味があるのは、ハルニレと、この古めかしいやにれ荘なんだ。
彼は住人の1人で、友達じゃない。
そして、何より彼は女の人が苦手なのだ。
気まずい思いはあるけれど、そこはただの住居人と割り切るしかない。
せっかく、ハルニレと2人、穏やかな雰囲気で過ごして来たのに、一瞬にしてやにれ荘にピリッとした緊張感を走らせる桐生弟。
これから始まる3人での生活を考えるとため息しか出なかった。