恋じゃなくてもイイですか?
玄関の方で物音がした。
足音がこちらに向かってくる。
ハルニレかな?と壁時計を確認する。
桐生くんの家から戻ってくるには、ちょっと早過ぎる気がする。
戸が開いたと思ったら、そこに立っていた遥くんと目が合った。
「あ、おかえり」
声が上ずったものの、何か話さないとと思い、声を掛けた。
遥くんも食堂にいるのが私じゃなくて、ハルニレだと思っていたのか、ぴくりと眉を動かし、目を見開いていた。
そして当然のように返事はない。そのままキッチンに向かう。
「何だよぅ、ただいまくらい言ってもいいじゃない」と心の中で思っていたはずなのに、気付いたら声に出ていた。
言った所で、しまったと思い、はっと口元を押えた。
私も実は結構、酔っ払ってたのだなと頭の中にいる冷静なもう1人の自分が分析する。
うっかり口を滑らした所で、彼は無視を続けるだろう。
気まずい雰囲気のまま、ここにいる気にはなれない。さっさと自室に戻るのがいいだろう。
「ミーちゃん、私、部屋に戻るね」