擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~


高校2年の時に担任だった神山先生の物理の授業は面白くて、生徒を飽きさせない仕掛けを必死に考えてくれていたんだと教師になってその苦労を実感した。

部活も熱のこもった指導で、県大会の上位にまで上り詰めたり、生徒の相談にも親身になってくれて、帰りはいつも遅かったはずだ。

その頃には既に私はアニメの世界にのめり込んでいたけれど、周りの友達はアイドルの方が好きで、自分の趣味はひた隠しにし、嘘をついているようで後ろめたかった。

先生はそのことに対して見抜いて「俺にだけは言ってみろ」と声をかけてくれた。

「俺も好きだぞー。面白いよなー」

そう言って私も好きなアニメの話題で少しの間盛り上がった。

「アイドルの話も嫌いじゃないならいいんじゃないか?無理して言うことは無い」

てっきり、友達に隠し事はダメだ、ありのままの自分をさらけ出せ、とでも言われるのかと思っていた。

「隠し事にもいろんな種類がある。言った方がいいものもあるだろう。もし、芹沢が俺とアニメ話をすることで満足できるなら言わなくたっていいと思うぞ」

先生の言葉を聞いて、曇天の空のように曇っていた私の心の中が少しずつ晴れ渡るようだった。




「わかった。その先生みたいになりたいんでしょ」

「そうだね。私の目標だよ」

教師にはなったばかりで、まだまだ及ばないけれどいつかは生徒に大きな影響を与えることのできる先生になりたいと思う。


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