擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
「それじゃあ、皆は練習に戻って」
「はいっ」
部長だろうか。黒髪を後ろに束ねた女子生徒が凛々しい出で立ちで部員の前に立って指示をすると、部員達が再び教室の中央に集まって行った。
私は部長と衣装係と話し合い、その間結城君と柏木さんは練習を眺めることにしたみたいだ。
話し合いで私の作成分を決定して対象の部員の体の寸法を事細かに書いた紙とデザイン画が渡された。
「すごい。本格的なのね」
「ここに集まっている部員には、将来を見据えている部員が多いんです」
部長は練習を始めている部員達を見回してから、強い眼差しで私に向き直る。
この子もきっと、将来を見据えている部員の1人なんだろうな。
「プロを目指しているってこと?」
「そうです。将来は劇団に入って女優として活躍したいと、皆思ってるんです」
私達が打ち合わせをしている間も、劇の練習をしていた生徒達。
担当の先生はまだ来ていないし、部長も加わっていないというのに、お互いに意見を出し合いながら練習を進めている。
1つのシーンが終わると、柏木さんが感激したように拍手をするのを見ると、たった1シーンでも何か心を動かす物があるんだろう。
単なる高校の部活動とは考えていない、部員達の目を見て更にやる気が漲ってきた。
絶対に、この子達の舞台を成功させなくちゃ、と。