涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
いつまでも弟扱い。
だけどそれが居心地がいい。
…ああ、だからだ。
前に進めなかったのは、そう思って踏み出せなかったから。
どんどん見つかって行く理由が、嬉しいわけなんてなく、俺の心をグサリとナイフで切りつけてくるようだった。
…少しは、嬉しい、かもしれないけど。
「…こんなとこになんで散らかすかなあ…」
ボソリ、とつぶやかれたその言葉に
「聞こえてるからな、夏希」
「はいはい。
ごめんなさいねー」
そうやって返されることにも安心してた。
当たり前、の存在でいられた事実。
それを俺は軽く見てた、ってこと。
無くしてから気付く、なんてまさにこのことだろうな。
ああ、まだ無くしてないか。
…いや、無くすも何も、何も手に入れてないのだから、無くすものもないのか。