今さら恋なんて…



「いえ…」


「ねぇ、羽生くんって下の名前、何?」


「え?…万里(バンリ)ですけど…」


「万里かー。いい名前だねー。ねぇ、万里って呼んで…」


「司さん」

あたしの言葉を遮る龍哉。


「んー?」


「早く飲まないと氷解けますよ」

龍哉はそう言うと、放置されていたグラスをあたしに突き出した。


「誰でも彼でもナンパしないでください」


「…ナンパじゃないし……いただきます」

あたしはグラスを受け取り、ぐいーっ、とカクテルを飲んだ。


少し甘めだけど、スパークリングワインがさっぱりさせてくれる。


確かにアルコール度は低めで、心地よい。


「美味しい…」

ふぅ、と息をついたあたしに、龍哉は微笑んでくれた。




< 106 / 479 >

この作品をシェア

pagetop