今さら恋なんて…
その視線の先に、見開かれた瞳を発見する。
ランチの途中だったのか、エビフライが刺さったフォークが宙に浮いたままだ。
このホテルの従業員かな。
グレーのジャケットに包まれたムダのない細い体。
色素が薄い茶色の瞳。
キメが細かそうな肌。
…何で最近の男子はあんなに肌が綺麗なんだか…。
柔らかそうな前髪がふんわりとその額を覆っている。
(…あの前髪もったいないなぁ…。もっと額出した方が絶対似合うのに…)
美容師をしているあたしの悪いクセ。
いつでもどこでも、会う人会う人の髪型を食い入る様に見てしまって、もっと似合う髪型があるのに、って考えてしまう…。
ウェイターの彼は、あたしの視線に気付いたのか、エビフライの彼に、小さな声で、「遊川。遊川」って注意をする。