今さら恋なんて…



「うるせぇな。男なんて昭和だろうが平成だろうが大して変わんねぇよ」


「変わるわ!バカ」

あたしはカットソーを棚に戻すと、踵を返して歩き始めた。


「待てよ、つー」


「待たない。帰る。仕事行ったら?」


「今日は行かねぇよ。待てって」

シゲハルはあっという間にあたしに追いつくと、あたしの腕を捕まえた。


「…仕事トラブってるんじゃないの…?」

シゲハルを振り返りながら言ったあたし。


「俺の心配してくれるんだ?」

ニヤリ、と笑うシゲハル。


「…シゲハルの部下の人の心配してるだけ」


「…可愛いこと言うなぁ、つー」


「……」

目元をくしゃくしゃにして笑うシゲハルを睨むけど…全然太刀打ち出来ない。


あたしは手のひらで転がされてるだけ、なんだろうな…。


「ほら。次の店行こう。今日は俺に付き合え」

シゲハルはあたしの手をそっと握ると、そう言って笑った…。



< 159 / 479 >

この作品をシェア

pagetop