今さら恋なんて…
「うるせぇな。男なんて昭和だろうが平成だろうが大して変わんねぇよ」
「変わるわ!バカ」
あたしはカットソーを棚に戻すと、踵を返して歩き始めた。
「待てよ、つー」
「待たない。帰る。仕事行ったら?」
「今日は行かねぇよ。待てって」
シゲハルはあっという間にあたしに追いつくと、あたしの腕を捕まえた。
「…仕事トラブってるんじゃないの…?」
シゲハルを振り返りながら言ったあたし。
「俺の心配してくれるんだ?」
ニヤリ、と笑うシゲハル。
「…シゲハルの部下の人の心配してるだけ」
「…可愛いこと言うなぁ、つー」
「……」
目元をくしゃくしゃにして笑うシゲハルを睨むけど…全然太刀打ち出来ない。
あたしは手のひらで転がされてるだけ、なんだろうな…。
「ほら。次の店行こう。今日は俺に付き合え」
シゲハルはあたしの手をそっと握ると、そう言って笑った…。