今さら恋なんて…



相変わらずの品がいいスーツと、緩く微笑むヒゲを蓄えた口元。


少し冷たい印象の切れ長の目が、あたしだけを映し出していた…。


「……」


思わず立ち尽くしていたあたしに気付いた、シゲハルの仕事相手が、

「…佐々木さん。いくら綺麗な女性が居たからって、そんなに見つめたら、彼女も困ってしまいますよ」

なんて、苦笑いを浮かべても、

「え?いいじゃないですか。俺、綺麗なコ、好きだし」

って、シゲハルは笑ってコーヒーをすすった。


「……」


何言ってんだ、この変態親父…。


そう思っていた時、シゲハルの隣に座っていた濃紺のスーツを着た男性が、

「しゃ、社長…。いくら綺麗だからって見ず知らずの女性に見とれないでください。今、商談中なんですよ?」

って、慌てた様にそう言った。



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