今さら恋なんて…



…口さえ開かなきゃ…ドキドキするほどスマートないい男なのに…。


「…何だよ。今さら俺に見とれてんの?」


「……」


ほらみろ。


口を開けばこれだもん。どれだけの自信家なんだか…。


…だけど…そこも嫌いじゃない。


「…うるさい」


あたしがそう憎まれ口を叩いても、

「うるさい、って何だよ。おもしれぇやつ」

ってシゲハルはくすくすと笑うと、止まったカゴからあたしを連れ出した。


「…どうぞ」

鍵を開けたシゲハルは、あたしを部屋に通してくれた。


「……」


相変わらず悔しいくらいにジェントルマンだわ。


文句を言いたくなる口を閉ざしたまま、家に上がろうとすると、

「靴、脱がせてやろうか?」

なんて、挑戦的な言葉が飛んできた。



< 195 / 479 >

この作品をシェア

pagetop