今さら恋なんて…
前屈みになったあたしの肩から滑り落ちた黒髪がシゲハルの頬を撫でる様に滑っていく。
「……やられた。反則だよ、つー」
シゲハルは悔しそうに呟くと、ゆっくりと立ち上がる。
そして、ゆっくりとあたしを壁に押し付けながら、
「昨日バーに来なかったから…完全振られたのかと思ってたのに」
なんて、弱音を吐いた。
「あら。あたしだって忙しいのよ?」
あたしはそっと微笑みながら、シゲハルの首に腕を回す。
「お前、忙しい時ほど、バーに来るじゃないか…」
「…そーだっけ?」
「そうだよ。何年お前のこと見てると思ってる…」
「…そうだね」
くすくすと笑いながら呟くと、シゲハルはため息混じりに微笑むと、
「やっと惚れてもらったのに…まだまだつーの分からないところは多そうだ。小出しにしてないで全部さらけ出してくれよ」
なんて呟いて、あたしの頬を撫でた。