今さら恋なんて…
そんなあたしの横を、ベルボーイに案内されながら、お客さん達が通り過ぎていく。
あー、今からあの人達、ここに泊まるんだなぁ…羨ましい。
その姿を見送りながら、そんな思いに駆られていると、
「司さん」
って、龍哉の声があたしの耳に響いた。
「!…りゅ、龍哉」
振り返ると、すぐ側に龍哉が立っていた。
落ち着いたグレーのジャケットと同じ色のスラックス。真っ白いシャツにモスグリーンのシックなネクタイ。
うん。
何回見ても制服似合うし、カッコイイ。
「お疲れ様です」
「お、お疲れ様…」
「俺の仕事を観察しててくれたんですか?」
「か、観察って失礼ね。…“見守ってた”のっ」
「あはは。そうですか。…お待たせしてすみません」
龍哉はそう言うと、あたしに頭を下げた。
「…いいよ。観察楽しかったし…」